強烈な暑さが続くここ最近、ついに本格的な夏の到来だ。学生の皆さんは「いよいよ夏休み!」とワクワク気分なことだろう(社会人の皆さんはお盆休みまでもう少し頑張りましょうか……)。
さて、そんな今年の夏休み、皆さんはどうやって過ごす?
海に山にとアクティブな夏休みももちろん良いが、「芸術」で脳と感性を刺激する夏休みはいかがだろうか?
というわけで、今回は夏休み前半戦にオススメな2つの個展をご紹介したい。どちらも現在(2024年7月5日〜)、大阪・南堀江の「TEZUKAYAMA GALLERY」にて開催中!
木村剛士 個展「Deaf Voice – 時間に耐えたくない」

1980年、東京都生まれ、宮城県出身の彫刻家、木村剛士が「TEZUKAYAMA GALLERY」では初の個展を開催。木村は多摩美術大学院美術研究科彫刻専攻を修了し、これまで数多くの彫刻を発表してきた。過去にも関西で作品を披露しており、2020年の「六甲ミーツ・アート」ではテニスコートを湯船と見立てた大型のインスタレーションを発表。「ART OSAKA EXPANDED 2023」では、名村造船所跡地にて8隻のボートが漂う空間をつくりあげた。これらの作品に共通するのは、単なる彫刻「物」にとどまることなく「鑑賞者が彫刻の背景に想いを馳せる」ことにより「変化する時間軸」さえも作品の一部となる点だ。今回の個展でもその副題(時間に耐えたくない)にある通り、「時間」について考えさせてくれる作品が展開されるだろう。
木村がインスピレーションを得たと言い、また本個展のタイトルとも同名の「デフ・ヴォイス」(NHKで放送されたドラマ)は、筆者(子守)も視聴していたので、個人的にはその点でも興味深い。

▲《inside out》2020 / 鋳物屋からの借用物、木型屋からの借用物、トタン、モニター、木材

▲《live log》 2022 / BMX, ブロンズ, 鋳砂
木村剛士 個展「Deaf Voice – 時間に耐えたくない」
【会期】2024年7月8日(金)〜8月3日(土)
築山有城 個展「Exhibition 2024」

築山有城は1976年に兵庫県神戸市に生まれ、京都造形芸術大学芸術学部美術科彫刻コースを卒業、現在まで出身地の神戸を拠点に活動する彫刻家。2023年6月からはアートと社会のより良い関係をつくるべく活動している神戸のアーティストコミュニティ C.A.P.(芸術と計画会議)の代表も務めている。築山が制作に扱う素材は金属や樹脂、木、塗料など多岐に渡るが、その出発点は常に素材そのもの。築山自身が「遊び」と呼ぶ「実験」を繰り返し、素材固有の特性を捉えた上で、それを作品主題の一部とする姿勢は一貫している。今回の個展では「絵画教室で受け取った石膏像と本物の牛の頭骨」を中心に据え、それにまつわる考察が行われるという。デッサン用のモチーフとして使われた「石膏像」と「牛の頭骨」は時代や文化により異なる解釈や意味合いを持つ。現代の彫刻家として活動する築山の歴史を超える素材への考究を楽しもう。
今も関西を中心に活躍するアーティストの大阪での個展。特に関西にお住まいの方々には、この機会にぜひ知ってもらいたい。

▲No.15 2024 | 石膏 | H580 × W470 × D320 mm

▲Solo Exhibition “Exhibition 2023” Photo by Hyogo Mugyuda
築山有城 個展「Exhibition 2024」
【会期】2024年7月8日(金)〜8月3日(土)
会場情報
TEZUKAYAMA GALLERY
【住所】大阪府大阪市西区南堀江1–19–27 山崎ビル2F
【開館時間】12:00〜19:00
【休館日】日曜日・月曜日・祝日
【入館料】無料