以前このサイトでもお知らせした「月亭太遊+笑福亭羽光『拡張する落語』京都編が、去る2023年5月20日(土)に開催されました!
本屋しゃん主催の本企画。京都の写真スタジオ(lux studio kyoto)で落語会を開催するという、画期的なイベント(事前情報はイベント情報記事をお読みください)。果たして実際にはどうなるのか?
筆者(子守)も開催当日、会場にお邪魔させて頂きましたので、この日の現場の様子をレポートという形でお届けいたします。
まずはこちらが会場(lux studio kyoto)の入り口。
パッと見、昭和の雑居ビル……といった趣で、知らなければ中々入るのに勇気が要る場所です。
私事ながら、何度もビルの前を通りかかってはいるハズなものの、今まで足を踏み入れたことは無く……。
そこを今回はえいっ!とばかりに入り、3階の会場に上がってみたならば……。
真っ白なスペースに真っ白な高座(説教・演説などをする人のために一段高く設けた席。特に寄席で、芸を演ずる場所をさす/Wikipediaより)!
めくり(寄席などの演芸場で、現在の出演者名を書いた紙製の札/Wikipediaより)台も、写真スタジオならではの機材で組み上げられています。オシャレ!
そんなこんなで明るく真っ白なスタジオの中、どんな落語会が始まるのかとワクワク待っておりましたところ、出番前の月亭太遊さん、笑福亭羽光さんに、今回の落語会にあたってのお話をお伺いすることができました。
月亭太遊さん
「場所の良さを活かしたいなっていうのは大事やと思うんで。真っ白って言うのは初めてなんで。頭の中で落語ってイメージして笑ってもらったりすると思うんですけど、真っ白なのがイメージが描きやすいのか、逆に描きづらいのか、それは楽しみではありますね。めちゃくちゃ実験的な会だと思います。」
笑福亭羽光さん
「普段から喫茶店とか居酒屋さんとかでやってるんで、逆にちゃんとしていて声も響くしやりやすいです。音が響き過ぎるので、三味線とのバランスが気になるくらいですかね。1部と2部、通しで来られるお客様もいるので、ネタは変えようと思います。」
出番前のお二方にお話をお伺いするのは、筆者のほうが緊張してしまうという有様でしたが、lux studio kyotoでの落語会、どんな様子になるのか期待が高まります!
そうこうしている内に開場時間。続々とお客様が入場。あっという間に満席に。
いよいよ月亭太遊+笑福亭羽光「拡張する落語」京都編@lux studio kyoto本番!
第1部
時刻は11:00。第1部の開演です。
まずは主催の本屋しゃんとlux studio kyotoを運営する逢坂憲吾さんお二人のトークから。
逢坂さん曰く「lux studio kyotoではこういったイベントを開催するのは初めて」とのこと。
また、今回は午前と午後の2部構成ということで、ランチ用に逢坂さんがオススメする近隣の飲食店を纏めたペーパーまで用意しているという、ホスピタリティの塊か!?
お二人のおかげで場の空気が暖かくなったところで、落語会スタート!
第1部は、笑福亭羽光さん→月亭太遊さん→笑福亭羽光さん→月亭太遊さん、交互に2席ずつ、という構成でした。
まずは羽光さん、今回初めて落語を観る(聴く)方向けに、マクラでは落語に関する優しい解説から。この日も何名か初落語のお客様もいらっしゃったようでしたが、lux studio kyotoが自然と落語会の場になっていく様子を感じました。
そこからはもう噺家お二人の独壇場といった形で、お二方の得意とする創作落語で次々に笑いが巻き起こる!
羽光さんはお得意のSF、ファンタジー風味の噺と、下ネタ満載の2席。
太遊さんはボケ・ツッコミの分かりやすく笑えるネタに、歌ネタまで織り込んだ2席。
「落語の言葉って昔の言葉で難しいし、笑うポイントとか分かるかな……」という落語初心者でも、シンプルに笑えて楽しめる4席でした!
喝采のうちに第1部終了です。
第2部
14:00からは第2部。こちらも本屋しゃんと逢坂さんのトークからスタートです。
第1部でも逢坂さんがオススメしてらっしゃった近隣飲食店について再度熱くアピール。実際に店舗に行かれたお客様もいたようで、こういった地域性が出るのも良いですよね。
第2部は、月亭太遊さん→笑福亭羽光さん→月亭太遊さん、の順で3席。
太遊さんはマクラで今回の落語会について、出演のお二方の共通点として「落語以外のお笑い出身である」というお話をされておられました。コント・漫才といったお笑いの世界から、「落語」の世界に入ったお二人。落語に対して敷居の高さを感じてしまう方にとっては、楽しく観られるめちゃくちゃ良い組み合わせだなーと改めて実感。
一方の羽光さん、第2部では「土橋萬歳(どばしまんざい)」という、上方落語の古典である大ネタを披露。この噺には「ハメモノ(三味線等のBGM)」や「ツケ(効果音・SE)」が入るのですが、何と「ツケ」は今回が初めてだという、本イベント主催の本屋しゃんが担当。
30分にわたる熱演でしたが、羽光さん曰く「ツケ」も完璧で、上方落語の魅力が存分に伝わる一席でした。すごい!!
最後は太遊さんの巧みな方言を駆使した一席でおひらき。
第1部とはまた違った、落語の魅力が感じられた第2部でした。いやーもう、大満足。
▲笑福亭羽光さん
▲月亭太遊さん
月亭太遊+笑福亭羽光「拡張する落語」京都編@lux studio kyoto。写真スタジオでのちょっと変わった落語会ということで、始まる前は緊張感のある落語会になるのかなぁーと思いきや、アットホームで素直に笑える楽しいイベントでございました。
特に筆者も含め、落語初心者にも優しく、誰でも笑えてウェルカムな雰囲気は、先述の通り、出演のお二方が共に「落語以外のお笑い出身」だからかもしれません。お二方とも「目の前のお客さんを楽しませよう」という、芸人さんならではの気概を感じました。
太遊さんは漫才出身だからなのか、笑いのポイントが分かりやすくてシンプルに笑える落語(それにしても各種方言がめちゃ上手かった)。羽光さんは真打だけあって創作落語から古典まで、話芸のバリエーションの広さ、奥深さが伝わる落語と、お二方の違いも分かる、とても良い組み合わせだった今回の落語会。
第1部、第2部と構成の変化もあり、真っ白な空間で、いや真っ白な空間だからこそ、真っ新な気持ちで落語の世界に触れることができました。
初心者のための落語入門編としても最高のイベントだったのではないでしょうか。
で、今回レポートのためにメモを取りながら落語を聴いていた筆者。
最後までレポートそっちのけで笑って楽しんでしまい、落語会が終わる頃には「一体この記事はどう書けば良いのだろうか……?」と、頭の中が、もう「真っ白」でした。
おあとがよろしいようで。
“「拡張する落語」京都編にご参加いただきありがとうございました!
応援していただいたみなさまもありがとうございました!
本屋しゃんにとって、はじめての京都で主催した落語会。アウェイ…であることに緊張していたのですが、そんな緊張や不安は、あたたかいお客様のおかげで吹っ飛びました。
羽光師匠と太遊さん、三味線の音、お客様の空気があたたかく溶け合ってよいグルーヴが生まれていました。
真っ白い空間をキャンバスに、落語を通じてお客様それぞれが想像力によって生み出した像や情景を描いていただけたと感じています。
羽光師匠と太遊さんの落語を通じて、落語の楽しみ方、おもしろさを拡張していただけていたら嬉しいです。
さあ、次は東京編!7月22日(土)に東日暮里の元映画館で開催します。
今度は太遊さんが東京にきてくださいます!
東京の方はもちろん、京都のみなさまも、ぜひ、旅しにいらしてください。
詳細は近日公開予定。お待ちしてます~。”
https://honyashan.com/%e4%bc%81%e7%94%bb/uko-taiyu-kyotokyo-rakugo2023/
というわけで、東京編の情報は上記URLから。
京都編に引き続き、そちらも是非どうぞ!!