とある統計によると京都はパンの消費量が日本でも一位だと言う。「和」のイメージの強い古都・京都と思うと意外な気もするが、そうらしい。京都在住の筆者(子守)は元来白飯党ではあるものの、確かにそれなりにパンも食べる。何より手軽だ。朝の寝ぼけ眼でとりあえず詰め込む、お昼の休憩中にささっと済ませる、ちょっとした空き時間の軽食に。パンだ!
京都のパン屋さんの中でも言わずと知れた代表格「SIZUYA(志津屋)」。もちろん「SIZUYA(志津屋)」の看板商品と言えば「カルネ」というサンドイッチである(最近は「京かるね」という名で売られているらしい)。具材は至ってシンプルな構成なのに、シンプルだからこそいつも食べたくなる逸品である。
個人的な話になって恐縮だが、筆者は京都駅から新幹線で移動する際は、必ず乗車前に駅構内で「カルネ」を購入し車内で食していた(もちろんビールと共に)。が、しかしだ。昨年からの新型コロナウィルス流行と共に遠出する機会もめっきりなくなり、新幹線に乗ることもなくなった。今は叶わない、目的地への車窓を眺めながら「カルネ」を頬張り、ビールを飲む至福のひと時。遠のく「カルネ」との日々……。くっコロナめ!!
そんな「カルネ欠乏症」に陥った筆者であるが、よく考えたら新幹線に乗らずとも、普通に店舗に買いに行けばいいのである。新幹線=カルネではないのだ。新幹線<カルネなのだ!! これまで新幹線に乗っていたのは「カルネ」を食べるためと言っても過言ではないのだ。 待ってろカルネ!!
と、言うわけで「カルネ」を購入しに「SIZUYA(志津屋)」店舗を訪れてみたところ……。

ウソやん! まさかの「カルネ」売り切れ! いやまさかではないんだけども! そりゃ人気ですもん。看板商品ですもん。夕方に訪れた筆者の失態と言うしかなかろう。
しかし、そんな中一つだけ残っていたのが「ペッパーカルネ」だ!!
「ペッパーカルネ?」と思いながらも、在庫も残すところ一つだったので、即ゲットして帰宅。家路を急ぐ足もソワソワしている。

恥ずかしながら「ペッパーカルネ」の存在を知らなかった筆者、恐る恐るパンを広げてみる。

マーガリンの塗られた円形のフランスパン。玉ねぎ、ハム……アレ? 別に通常の「カルネ」と一緒じゃない?
さらにハムを持ち上げてみると……。

こいつぁブラックペッパーだ! マヨネーズにブラックペッパーが混ざっていやがるぜ! 黒い粒がお分かりいただけるだろうか。「ペッパーカルネ」の名に恥じぬ風体だ。見る限りハズレの予感はゼロ。
して実食。パッケージには「オーブントースターで軽く温めるとより美味しい」との旨が記載されているが、今回はそのまま食べる。だって新幹線にはオーブントースターが設置されていないもの!
ふむ、口内に広がるマーガリンの甘い風味。玉ねぎのシャキッとした食感と辛味。高級すぎないハムの旨味。
いやしかし普通の「カルネ」どう違うんだろう……と思っていたその時、マヨネーズに混ぜられたブラックペッパーが後からピリリと顔を出して来やがった!! であえであえー! 曲者じゃー!
普通の「カルネ」とは違う「ちょっと大人のカルネ」とでも言おうか。
とは言え、痺れるほど辛い訳ではない。アクセント程度にピリリとするのだ。こいつぁビールにももちろんピッタリだろうな。アリだ!
いやはや新幹線の座席で車窓を眺めながら「ペッパーカルネ」片手にビールを飲めることになるのは一体いつになるだろうか。その前に郷愁の元祖「カルネ」の味も確かめておきたいところである。あっ、ビールは別に確かめなくてもしょっちゅう飲んでいるので大丈夫です。